電動キックボードにはどのような危険があるのか:ベルリン救急報告
E-scooter incidents in Berlin: an evaluation of risk factors and injury patterns
背景
eスクーターは近年注目を集める電気走行のモビリティであるが、その危険性に対する懸念も存在する。ドイツCharite University Medicine BerlinのUlukらは、2019年6月から12月にベルリン4ヵ所の救急部門を受診したeスクーター事故関連患者を対象に、事故の原因と機序、外傷のアウトカムを調査した(n=248)。
結論
248名のうち129名が男性、年齢は中央値29歳(5〜81歳)、41%は観光客で、小児は4%であった。事故の71%は7月から9月の間に発生し、58%が週末に発生した。受傷パターンは多くが多発性で、下肢(42%)、上肢(37%)、頭部(40%)への受傷が多かった。外傷性脳損傷(TBI)はアルコール摂取と関連した。25%の患者が入院し、23%は手術となった。
評価
eスクーター関連外傷に関する最大規模のケースシリーズである。eスクーターでの転倒・衝突は挫傷・骨折・靱帯損傷などの外傷の原因となっており、歩行者との衝突も9件発生していた。論文著者はヘルメットの義務化、年齢制限などの規制厳格化を提案しているが、日本では道交法上の規制緩和が決まっており、事故の増加が懸念される。