TDMターゲットで抗菌薬療法を精密化しても敗血症の予後は改善しない:TARGET試験
Effect of therapeutic drug monitoring-based dose optimization of piperacillin/tazobactam on sepsis-related organ dysfunction in patients with sepsis: a randomized controlled trial
背景
病原体に対する抗菌作用を発揮できるPK/PD(薬物動態/薬力学)に至らない不十分な抗菌薬曝露は、敗血症の臨床アウトカムの悪化と関連することが示唆されている。ドイツJena UniversityのHagelらは、敗血症・敗血症性ショックの成人患者に対するピペラシリン/タゾバクタムの投与において、ピペラシリンの治療薬物モニタリング(TDM)により投与量を調整する群と固定量で投与を行う群への割り付けを行い、SOFAスコアへの影響を検証する多施設ランダム化比較試験TARGETを実施した(n=249)。
結論
10日間の平均SOFAスコアは、TDM群で7.9ポイント、非TDM群で8.2ポイントと差はなかった。TDM群では28日死亡率が低く(21.6% vs. 25.8%)、臨床的治癒率(オッズ比1.9)、細菌学的治癒率(2.4)が高かったが、臨床的有意差には至らなかった。目標濃度の達成率はTDM群で高かった(37.3% vs. 14.6%)。
評価
TDMガイドの有無で一次アウトカムに差はなかったが、死亡率・治癒率はTDM群で良い傾向が認められた。さらなる検証に繋がる可能性がある。