出血性ショック外傷患者への病院前血漿輸血は無益か:RePHILL試験
Resuscitation with blood products in patients with trauma-related haemorrhagic shock receiving prehospital care (RePHILL): a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet Haematology
年月
April 2022
9
開始ページ
E250

背景

外傷患者の出血性ショックに対する早期血漿輸血は有効か?
この問題にPAMPER試験、COMBAT試験は異なる結論を下している。イギリスUniversity Hospitals BirminghamのCrombieら(RePHILL試験)は、同国4民間救急医療サービスにおいて、外傷による出血性ショック・低血圧を有する成人患者に対し、病院到着前に赤血球濃厚液(PRBC)と凍結乾燥血漿(LyoPlas)、またはプラセボ(生理食塩水)を静脈内・骨内投与するランダム化比較試験を実施した。一次アウトカムは、死亡・乳酸クリアランス不全の複合である。

結論

COVID-19パンデミックにより、予定された490名の登録に達する前に試験は中止された(n=432)。一次複合アウトカム率は、PRBC-LyoPlas群の64%、プラセボ群で65%であった(調整リスク差-0.025%)。病院到着後24時間の輸液関連合併症はそれぞれ7%、7%と差はなかった(調整相対リスク1.05)。ARDSを含む重篤有害事象はそれぞれ6%、2%で発生した。

評価

ロジスティックの課題を解決するため、凍結乾燥血漿を使用した戦略であったが、一次アウトカムは変わらず、搬送時間サブグループで治療効果に差がある可能性も見出されなかった。類似の病院前RCTがさらに複数進行中である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)