メラトニンはせん妄の発生を予防しない:Pro-MEDIC試験
Prophylactic melatonin for delirium in intensive care (Pro-MEDIC): a randomized controlled trial
背景
ICUに入室した重症患者では、サーカディアンリズムの混乱が生じることが示唆されており、これを調整することで、せん妄の発症を抑制することが期待されている。オーストラリアSir Charles Gairdner HospitalのWibrowらは、同国12ヵ所のICUに72時間以上の入室が予想される成人患者へ、メラトニンまたはプラセボを、14夜連続またはICU退室まで経腸投与するランダム化比較試験Pro-MEDICを実施した(n=847)。
結論
患者ごとの非せん妄評価割合は、メラトニン群で79.2%、プラセボ群80%と有意差はなかった。ICU滞在日数(中央値それぞれ5日)、入院日数(14日 vs. 12日)、90日死亡率(15.5% vs. 15.6%)、睡眠の量・質にも有意な差はなかった。
評価
これまで小規模な試験でメラトニンやメラトニン受容体作動薬ラメルテオン(http://doi.org/10.1097/CCM.0000000000003132)のせん妄予防効果が示唆されてきたが、最大規模となるこのRCTでは、メラトニン投与の効果は認められなかった。