卵巣機能抑制を受ける閉経前早期乳がんでのAI併用
Aromatase inhibitors versus tamoxifen in premenopausal women with oestrogen receptor-positive early-stage breast cancer treated with ovarian suppression: a patient-level meta-analysis of 7030 women from four randomised trials

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
March 2022
23
開始ページ
382

背景

アロマターゼ阻害薬(AI)は、閉経後乳がんでタモキシフェンを上回る有効性を示しているが、閉経前のホルモン受容体(ER)陽性早期乳がん女性に対して卵巣抑制とともに行う場合、タモキシフェンよりも有効なのか。Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)は、卵巣抑制(ゴセレリン、トリプトレリン)・卵巣摘出を受けたER陽性乳がん女性において、3年ないし5年のアロマターゼ阻害薬(アナストロゾール・エキセメスタン・レトロゾール)、またはタモキシフェンを比較したランダム化比較試験の患者個別データによるメタアナリシスを実施した(n=7,030)。

結論

乳がん再発率はアロマターゼ阻害薬を受けた女性で低かった(率比0.79)。ベネフィットは主として0~4年目に認められ、5年再発リスクは3.2%低下した(6.9% vs. 10.1%)。5~9年目(率比0.98)および10年目以降には追加のベネフィットはなかった。アロマターゼ阻害薬群では遠隔転移再発の低下も認められた。がん死亡率、非がん死亡率、全死亡率に有意な差は認められなかった。骨折はアロマターゼ阻害薬群の女性で多く発生した(6.4% vs. 5.1%)。

評価

TEXT試験、SOFT試験など4試験の患者個別データの解析から、閉経前女性でアロマターゼ阻害薬がタモキシフェンを上回る再発予防効果を持つことを確認した。乳がん死亡への影響を知るには、より長期のデータが必要だが、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの選択に指針をもたらすデータとなる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)