卵巣機能抑制を受ける閉経前早期乳がんでのAI併用
Aromatase inhibitors versus tamoxifen in premenopausal women with oestrogen receptor-positive early-stage breast cancer treated with ovarian suppression: a patient-level meta-analysis of 7030 women from four randomised trials
背景
アロマターゼ阻害薬(AI)は、閉経後乳がんでタモキシフェンを上回る有効性を示しているが、閉経前のホルモン受容体(ER)陽性早期乳がん女性に対して卵巣抑制とともに行う場合、タモキシフェンよりも有効なのか。Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)は、卵巣抑制(ゴセレリン、トリプトレリン)・卵巣摘出を受けたER陽性乳がん女性において、3年ないし5年のアロマターゼ阻害薬(アナストロゾール・エキセメスタン・レトロゾール)、またはタモキシフェンを比較したランダム化比較試験の患者個別データによるメタアナリシスを実施した(n=7,030)。
結論
乳がん再発率はアロマターゼ阻害薬を受けた女性で低かった(率比0.79)。ベネフィットは主として0~4年目に認められ、5年再発リスクは3.2%低下した(6.9% vs. 10.1%)。5~9年目(率比0.98)および10年目以降には追加のベネフィットはなかった。アロマターゼ阻害薬群では遠隔転移再発の低下も認められた。がん死亡率、非がん死亡率、全死亡率に有意な差は認められなかった。骨折はアロマターゼ阻害薬群の女性で多く発生した(6.4% vs. 5.1%)。
評価
TEXT試験、SOFT試験など4試験の患者個別データの解析から、閉経前女性でアロマターゼ阻害薬がタモキシフェンを上回る再発予防効果を持つことを確認した。乳がん死亡への影響を知るには、より長期のデータが必要だが、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの選択に指針をもたらすデータとなる。