「慢性心不全患者は減塩」を否定:SODIUM-HF
Reduction of dietary sodium to less than 100 mmol in heart failure (SODIUM-HF): an international, open-label, randomised, controlled trial
背景
「心不全患者は減塩」は古典的な医療原則だが、エビデンスは堅固でない。カナダ University of AlbertaのEzekowitzら(SODIUM-HF)は、18歳以上の慢性心不全患者806名を低ナトリウム食(<1500 mg/日)と通常ケアに割り付ける多国RCTを行った。一次アウトカムは、12ヵ月後での心血管関連入院・救急受診・全原因死亡の複合である。
結論
一次アウトカムに群間差はなかった。介入群はNa摂取量を1日あたり約2,286mgから1,658mgに減らしており、対照群は2,119mgから2,073mgに摂取量を減らしていた。
評価
2018のレビューでは、この問題には2,500論文があるが、RCTは9であった(https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2712563)。今回の検証は史上最大のもので、エビデンスとして強固である。減塩群では、KCCQスコアでQOLの改善が認められたとはしているが、常識への大きなチャレンジである。AHA/ACCの対応が注目される。