血液検査と臨床ルールを組み合わせてmTBIでのCT必要性を判断する
Evaluation of Glial and Neuronal Blood Biomarkers Compared With Clinical Decision Rules in Assessing the Need for Computed Tomography in Patients With Mild Traumatic Brain Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
March 2022
5
開始ページ
e221302

背景

CT画像検査は外傷性脳損傷(TBI)が疑われる患者での診断スタンダードであるが、放射線被曝を抑制するために不要なCTをどのように避けるかが重要である。アメリカOrlando Regional Medical CenterのPapaらは、受傷後4時間以内に受診した軽度TBI疑いの成人患者において、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)とユビキチンC末端水解酵素I型(UCH-L1)を組み合わせた血液検査のパフォーマンス、および臨床意思決定ルール(Canadian CT Head Rule、New Orleans Criteria、National Emergency X-Radiography Utilization Study II)との併用可能性を評価した(n=349)。

結論

93%でCTが実施され解析対象となった。CT陽性は7%であった。臨床意思決定ルールの感度・特異度・陰性適中率は、CCHRで100%、33%、100%、NOCで100%、16%、100%、NEXUS IIでは83%、52%、98%であった。GFAPとUCH-L1のカットオフ値を67、189 pg/mLとした場合の感度・特異度・陰性適中率は100%、25%、100%であり、30、327 pg/mLとした場合は91%、20%、97%であった。受信者動作特性曲線下面積(AUROC)は、GFAP単独で0.83、各臨床意思決定ルールと組み合わせると0.83-0.88へと上昇した。UCH-L1のAUROCは0.72であり、各臨床意思決定ルールと組み合わせると0.77-0.79となった。

評価

前向コホートでの検証からGFAPと臨床意思決定ルールの組み合わせにより、パフォーマンスが改善されることを明らかにした。FDAの承認を受けている検査で、不要なCT抑制に役立つことが期待される。

関連するメディカルオンライン文献

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)