血液検査と臨床ルールを組み合わせてmTBIでのCT必要性を判断する
Evaluation of Glial and Neuronal Blood Biomarkers Compared With Clinical Decision Rules in Assessing the Need for Computed Tomography in Patients With Mild Traumatic Brain Injury
背景
CT画像検査は外傷性脳損傷(TBI)が疑われる患者での診断スタンダードであるが、放射線被曝を抑制するために不要なCTをどのように避けるかが重要である。アメリカOrlando Regional Medical CenterのPapaらは、受傷後4時間以内に受診した軽度TBI疑いの成人患者において、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)とユビキチンC末端水解酵素I型(UCH-L1)を組み合わせた血液検査のパフォーマンス、および臨床意思決定ルール(Canadian CT Head Rule、New Orleans Criteria、National Emergency X-Radiography Utilization Study II)との併用可能性を評価した(n=349)。
結論
93%でCTが実施され解析対象となった。CT陽性は7%であった。臨床意思決定ルールの感度・特異度・陰性適中率は、CCHRで100%、33%、100%、NOCで100%、16%、100%、NEXUS IIでは83%、52%、98%であった。GFAPとUCH-L1のカットオフ値を67、189 pg/mLとした場合の感度・特異度・陰性適中率は100%、25%、100%であり、30、327 pg/mLとした場合は91%、20%、97%であった。受信者動作特性曲線下面積(AUROC)は、GFAP単独で0.83、各臨床意思決定ルールと組み合わせると0.83-0.88へと上昇した。UCH-L1のAUROCは0.72であり、各臨床意思決定ルールと組み合わせると0.77-0.79となった。
評価
前向コホートでの検証からGFAPと臨床意思決定ルールの組み合わせにより、パフォーマンスが改善されることを明らかにした。FDAの承認を受けている検査で、不要なCT抑制に役立つことが期待される。


