ケタミンの投与で重度の希死念慮を軽減する:KETIS試験
Ketamine for the acute treatment of severe suicidal ideation: double blind, randomised placebo controlled trial
背景
希死念慮は常に自殺企図に先行し、希死念慮への介入は死を防ぐ可能性があるが、有効な薬物療法は少ない。フランスUniversity of MontpellierのAbbarらは、同国の教育病院7施設で希死念慮があり、任意入院している成人患者を対象に、通常治療に加えてケタミン(0.5 mg/kg)またはプラセボをベースライン時・24時間後に静脈投与し、希死念慮への影響を評価する二重盲検ランダム化比較試験KETISを実施した(n=156)。
結論
ケタミン群の63.0%、プラセボ投与群では31.6%が、3日目時点で希死念慮の完全な寛解に至った(オッズ比3.7)。効果は患者の診断によって異なっており、双極性障害では効果が高く(14.1)、うつ病(1.3)、その他の障害(3.7)では有意ではなかった。副作用は限られており、躁病や精神病症状はみられなかった。
評価
日本では使用に制約のあるケタミンだが、近年即効性の抗うつ薬として注目されており、メタアナリシスも行われている(https://doi.org/10.1177/0004867419883341)。本試験でも投与群での速やかな希死念慮の軽快が認められた。より長期的な影響も検証される価値がある。