COVID-19の血管内皮障害にプロスタサイクリンが有望か
Prostacyclin in Intubated Patients with COVID-19 and Severe Endotheliopathy: A Multicenter, Randomized Clinical Trial
背景
COVID-19により死亡した患者では、肺血管系の血管内皮障害が多くみられることが報告されており、この疾患の高い死亡率と関連している可能性がある。デンマークCopenhagen University Hospital-RigshospitaletのJohanssonらは、人工呼吸を必要とし血管内皮細胞マーカー(可溶性トロンボモジュリン)の上昇がみられる新型コロナウイルスSARS-CoV-2感染患者を、プロスタサイクリンまたはプラセボの投与に割り付ける多施設ランダム化比較試験を実施した(n=80)。
結論
28日以内の人工呼吸器不要生存日数は、プロスタサイクリン群で中央値16.0日、プラセボ群では5.0日であった(非有意)。28日死亡率はそれぞれ21.9%、43.6%であった(ハザード比0.50)。7日以内の重篤有害事象発生率は、プロスタサイクリン群2.4%、プラセボ群12.8%であった。
評価
同薬は肺高血圧症治療などでスタンダードとなっているが、このRCTでは非有意ながら大きな治療効果が示唆された。大規模検証の結果に期待がかかる。