T2D発症と腸マイクロバイオーム:フィンランドで最大最長期の前向研究
Gut Microbiome Composition Is Predictive of Incident Type 2 Diabetes in a Population Cohort of 5,572 Finnish Adults
背景
マイクロバイオームは2型糖尿病(T2D)等生活習慣病に多大の影響を与えるとみられている。フィンランドUniversity of TurkuのRuuskanenらは、2002〜2017年に追跡調査を行った同国民コホートFINRISK 2002登録者5,572名を対象として、糞便サンプル腸マイクロバイオーム組成と、T2D発症の関連を検討する前向コホート研究を行った。
結論
15.8年の追跡調査期間中、全432例のT2D発生があり、4種の腸内細菌Clostridium citroniae (HR 1.21)・C. bolteae (HR 1.20)・Tyzzerella nexilis(HR 1.17)・ Ruminococcus gnavus(HR 1.17)と、これら細菌を多く含む2クラスター(cluster 1・cluster 5 [HR 1.18])がT2D発生と相関した。
評価
すでに相当数の報告があるが、横断研究で「豊潤な腸内フローラがT2D予防に重要」と結論しているものもある(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8322996/)。こちらの研究は前向・長期・大規模で、さらにメトホルミン等マイクロバイオームに影響を与える可能性のある投薬患者は除外しており、信頼度は上がってきている。