新型コロナICU患者の家族ではPTSDのリスクが高い
Association of COVID-19 Acute Respiratory Distress Syndrome With Symptoms of Posttraumatic Stress Disorder in Family Members After ICU Discharge
背景
家族の重篤化とICUへの入室は患者家族に大きな動揺をもたらすが、新型コロナウイルス感染症COVID-19重篤患者の家族における心的外傷後ストレス障害(PTSD)リスクは?
フランスSaint Louis University HospitalのAzoulayらが同国23ヵ所のICUを対象として前向コホート研究では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のサバイバー(n=307)と家族(n=602)を登録し、ICU退室後90日目のPTSDリスクを比較した。
結論
患者家族の86%、患者本人の89%が90日後の評価を完了した。非COVID-19のARDS患者家族と比較して、COVID-19 ARDS患者の家族ではPTSD有病率が有意に高かった(19% vs. 35%)。不安症状(34% vs. 41%)、抑うつ症状(18% vs. 31%)についても同様であった。各種因子を調整した多変量モデルでは、COVID-19によるARDSは家族のPTSDリスクの上昇と関連した(オッズ比2.05)。
評価
パンデミック下のICUでは、通常にない厳密な隔離措置などさまざまな混乱があり、患者家族のメンタルヘルスにも悪影響を与えた可能性がある。COVID-19サバイバーだけでなく、患者家族においても社会的支援の確立が急務である。