スタチン服用はPSA前立腺がん検診を損なわない
Outcomes of Screening for Prostate Cancer Among Men Who Use Statins
背景
スタチンは前立腺特異抗原(PSA)レベルを低下させる可能性が示唆されているが、PSA前立腺がん検診の有効性はスタチンの服用に影響を受けるか。フィンランドTampere UniversityのVettenrantaらは、1996〜1999年に同国の男性をPSA検診(4年間隔3回)またはルーチンケアにランダム化し、2015年までフォローアップを行ったランダム化比較試験の事後サブグループ解析を行い、スタチン服用がPSA検診のアウトカムと関連するか調査した(n=78,606)。
結論
PSA検診は、スタチン非服用者における前立腺がん罹患率の増加と関連した(率比1.31)一方、スタチン服用者では増加は認められなかった(1.02)。スタチン服用者では低リスク(グリソンスコア6)・限局性腫瘍の罹患率が低く、グリソンスコア8-10の腫瘍検出率は同程度であった。検診はスタチンの有無にかかわらず、遠隔転移を有する腫瘍罹患率の低下と関連した。
評価
スタチン服用者のPSA検診では、過剰診断が問題となる低リスクな腫瘍の発見が減った一方、高リスク腫瘍の検出には非服用者と差がなかった。転移性腫瘍の発生も抑えられており、スタチン服用者でのPSA検診の有効性は十分確保されていると考えられる。