ICU入室後のナトリウム濃度上昇は院内死亡率と関連
Association Between an Increase in Serum Sodium and In-Hospital Mortality in Critically Ill Patients
背景
ICUでは多くの患者にナトリウム濃度の異常が認められ、院内死亡率の上昇と関連するが、ICU入室後のナトリウム濃度の変化は死亡率に影響するか。
オランダLeiden University のGrimらは、2011〜2017年に同国の10 ICUに入室し、24時間以内と24〜48時間後にそれぞれ1回以上の血清ナトリウム測定を行った成人患者を対象に、ナトリウム濃度の変化と院内死亡率との関連を評価した(n=36,660)。
結論
ナトリウム値正常だった患者(差が5〜10 mmol/Lでオッズ比1.61、10 mmol/L超でオッズ比4.10)、高ナトリウム血症だった患者(1.47、8.46)の双方で、血清ナトリウム濃度の入室後の上昇は院内死亡率と独立して関連した。低ナトリウム血症であった患者では差が5〜10 mmol/Lを超えても死亡率の有意な差は認められなかった。
評価
大規模なコホートでの調査から、ICU入室初期のナトリウム濃度上昇が院内死亡リスクとなることを明らかにした。また本研究では、入室時の軽度の低ナトリウム血症は死亡リスクではなく、補正の必要はないことが示唆されている。