腎細胞がん脳転移へのカボザンチニブは有望
Clinical Activity and Safety of Cabozantinib for Brain Metastases in Patients With Renal Cell Carcinoma
背景
腎細胞がんのその1割ほどに脳転移を生じるとされるが、有効な全身治療が不足している。Dana-Farber Cancer InstituteのHirschらは、アメリカ・ヨーロッパの15施設で治療を受ける脳転移を伴う転移性腎細胞がん患者を対象として、マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブの臨床活性・安全性を評価する後向コホート研究を実施した(n=88)。
結論
38%が脳局所治療を併用しない進行性脳転移患者(コホートA)、62%が局所治療を併用する安定・進行性脳転移患者(コホートB)であった。頭蓋内病変奏効率はコホートAで55%、コホートBで47%であった。コホートAの頭蓋外病変奏効率は48%、治療失敗までの期間は中央値8.9ヵ月、全生存期間は中央値15ヵ月であった。コホートBではそれぞれ38%、9.7ヵ月、16ヵ月であった。忍容性は良好で、予期されない毒性・神経学的有害事象は報告されず、治療関連死はなかった。
評価
腎細胞がん脳転移の治療は手術・ガンマナイフが中心となるが、この後向研究において、カボザンチニブが良好な頭蓋内活性を示した。第2相CABRAMET試験において前向検証が進んでいる(NCT03967522)。