NOAC服用患者でのアルテプラーゼは安全か
Association of Recent Use of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants With Intracranial Hemorrhage Among Patients With Acute Ischemic Stroke Treated With Alteplase
背景
非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOACs)を最近服用している急性脳梗塞患者に対しては、アルテプラーゼ静注を用いないことが推奨されているが、この問題の裏付けとなるデータは不足している。Duke UniversityのKamらは、全米1,752施設が参加するGet With The Guidelines-Strokeプログラム(2015〜2020年)において、発症7日以内にNOACsを服用または抗凝固薬を非服用で、発症4.5時間以内にアルテプラーゼ静注を受けた急性脳梗塞患者における症候性脳内出血・その他の安全性アウトカム・機能的アウトカムを検討する後向コホート研究を実施した(n=163,038)。
結論
1.4%(2,207名)がNOACsを受けており、98.6%は抗凝固薬を服用していなかった。NOACsはより高齢で、心血管合併症が多く、重症度も高かった。症候性脳内出血の未調整発生率はNOACs服用群3.7%、非服用群3.2%であり、背景因子について調整するとリスクに有意な群間差はなかった(調整オッズ比0.88)。院内死亡率を含む二次安全性アウトカムについても有意差はなかった。二次機能アウトカムでは、7項目中4項目でNOACs服用群が優った(帰宅退院率など)。
評価
NOACsの使用拡大に伴いNOACs服用患者の数も増加しているが、安全性データは限られている。この研究はNOACs服用が脳内出血のリスクではないことを示唆した。アルテプラーゼの恩恵を受けるべき集団である可能性が高く、厳密な検証が望まれる。