高齢患者でも免疫チェックポイント阻害薬治療は可能か
Clinical Outcomes and Toxic Effects of Single-Agent Immune Checkpoint Inhibitors Among Patients Aged 80 Years or Older With Cancer: A Multicenter International Cohort Study
背景
高齢のがん患者はほとんどの臨床試験から除外されるため、これらの患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性は十分なデータを欠いている。Vanderbilt University Medical CenterのNebhanらは、アメリカ・ヨーロッパの18施設で単剤の免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた80歳以上の高齢がん患者(n=928)を対象とした後向研究を行い、高齢患者における免疫チェックポイント阻害薬の臨床アウトカムおよび免疫関連有害事象(irAE)パターンを検討した。
結論
86.9%は抗PD-1療法を受けており、37.2%が非小細胞肺がん、35.5%が悪性黒色腫、16.5%が泌尿生殖器がん患者であった。客観的奏効率は非小細胞肺がんで32.2%、悪性黒色腫39.3%、泌尿生殖器がん26.2%であり、無増悪生存期間(中央値)は各6.7ヵ月・11.1ヵ月・6.0ヵ月、全生存期間(中央値)は10.9ヵ月・30.0ヵ月・15.0ヵ月であった。いずれのサブグループでも85歳未満と85歳以上の臨床アウトカムは同等であった。41.3%の患者がirAEを発症し、12.2%はグレード3・4であった。16.1%でirAEによる治療中止が発生した。irAE発症率に年齢で有意差はなかったものの、90歳以上ではirAEによる治療中止が多かった(30.9% vs. 15.1%)。
評価
多国籍コホートでの調査から、90歳以上ではirAEによる治療中止が倍増する一方、高齢患者でも免疫チェックポイント阻害薬からベネフィットを期待できることを明らかにした。積極的に高齢患者を組み入れた臨床試験の実施が望まれる。