ICUアルコール使用障害患者でチアミン投与は半数のみ
Thiamine Supplementation in Patients With Alcohol Use Disorder Presenting With Acute Critical Illness: A Nationwide Retrospective Observational Study
背景
アルコール使用障害の患者はチアミン欠乏によりウェルニッケ脳症を呈する場合があり、リスクのある患者ではチアミン投与が推奨されている。Beth Israel Deaconess Medical CenterのPawarらは、2010〜2017年にアルコール離脱症・敗血症性ショック・外傷性脳損傷(TBI)・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)によって集中治療室に入室し、アルコール使用障害と診断された成人患者(n=14,998)におけるチアミン補充の実態をCerner Health Factsデータベースで後向調査した。
結論
平均年齢は52.2歳、77%が男性、院内死亡率は9%であった。全体の51%がチアミン補充を受けていた。疾患別ではアルコール離脱症59%、敗血症性ショック26%、外傷性脳損傷41%、糖尿病性ケトアシドーシス24%であった。チアミン補充患者の52%が救急受診後12時間以内の投与であり、41%は経腸投与であった。
評価
チアミンの投与はアルコール使用障害と診断されたICU患者の半数にとどまった。チアミン補充の必要性は十分認識されていないようである。