大腸がん肝転移での肝切除後の補助化学療法、生存率は差なし:JCOG0603試験
Hepatectomy Followed by mFOLFOX6 Versus Hepatectomy Alone for Liver-Only Metastatic Colorectal Cancer (JCOG0603): A Phase II or III Randomized Controlled Trial
背景
大腸がん肝転移に対しては肝転移切除が標準治療であるが、術後補助療法として化学療法を行う意義はあるか。日本National Cancer Center Hospital(国立がん研究センター)のKanemitsuらは、肝転移を有する大腸がん患者(20〜75歳)を、肝切除単独または肝切除後のmFOLFOX6療法へと割り付け、一次エンドポイントとして無病生存期間(DFS)を比較する第2/3相ランダム化比較試験JCOG0603を実施した。
結論
300名が試験群に割り付けられた後、第3相の第3回中間解析において、術後補助化学療法群のDFSが有意に延長したため、試験は早期終了した。フォローアップ期間中央値59.2ヵ月時点での5年DFS率は肝切除単独群38.7%、術後補助化学療法群49.8%であった(ハザード比0.67)。しかしながら、5年全生存率は肝切除単独群で83.1%、術後補助化学療法群で71.2%と(ハザード比1.25)、化学療法による改善は認めなかった。
評価
化学療法群の一次アウトカム優位によって試験が早期終了したにもかかわらず、生存率は肝切除単独群で良好な傾向、という意外な結果となった。EORTC 40983試験とも合わせ、肝切除患者での補助化学療法には慎重な検討が必要である。