病理学的完全奏効(pCR)は生存率の代替エンドポイントではない?
Evaluation of pathological complete response as surrogate endpoint in neoadjuvant randomised clinical trials of early stage breast cancer: systematic review and meta-analysis
背景
病理学的完全奏効(pCR)は乳がんの術前治療において生存エンドポイントの代替指標(代替エンドポイント)として用いられるが、真のエンドポイントを予測する精度については論争がある。イタリアEuropean Institute of OncologyのConfortiらは、術前化学療法を単独または併用で検証したランダム化比較試験を対象に、pCRと無病生存・全生存率との関連を評価するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
患者32,611名からなる54件のランダム化比較試験が解析された。pCRの相対リスクと無病生存率・全生存率のハザード比にはそれぞれ弱い相関が認められた。Surrogate threshold effect(ハザード比が1とならないpCR相対リスクの最小値)は、無病生存率では5.19、全生存率では推定不能であった。結果は3つの感度分析で確認された。
評価
pCRはFDAの迅速承認プロセスでも用いられる代替エンドポイントであるが、このメタ解析ではpCRと生存率との相関は弱く、代替エンドポイントとしての価値は疑わしいと考えられる。