再灌流障害での出血イベントの重要性を確認
Intramyocardial Hemorrhage and the “Wave Front” of Reperfusion Injury Compromising Myocardial Salvage
背景
急性心筋梗塞(MI)再灌流治療での再灌流障害に果たす出血の役割は未だ明らかでない。Indiana UniversityのDharmakumarらは、STEMI一次PCI後患者(n = 70)でcTn動態とCMR出血所見を比較検討し、さらにイヌレベル対照実験(n=25)により出血の影響を虚血性負荷から分離して、その機構を解析した。
結論
再灌流後出血患者では、PCI後cTnピークが早く(12時間 vs. 24時間、P<0.05)、高かった(P< 0.01)。動物レベルで、再灌流後出血発生例で心筋壊死の拡大がより急速で、非出血例にはみられない心外膜病変が発生することが示された(P< 0.001)。また、動物レベルでは、再灌流後1時間ではMIのサイズとサルベージが出血の有無と関連しなかった一方、72時間以内に出血例でサルベージ可能心筋のロスが非出血例の4倍に達した(P<0.001)。
評価
再灌流障害での出血が心筋障害をより拡大させ、サルベージ不可能にする、という見方を臨床・実験レベルで強化した。現在、出血サイズの推定にT2*-CMRが使用されているが、その精確性の再検討も必要となった。