抗菌薬療法にもかかわらず手術が必要になる虫垂炎患者の特徴は?
Patient Factors Associated With Appendectomy Within 30 Days of Initiating Antibiotic Treatment for Appendicitis
背景
近年の臨床試験は、合併症のない虫垂炎患者での抗菌薬治療が安全であることを示しているが、かなりの割合で結局手術が必要となることも明らかにされている。アメリカ25施設の虫垂炎患者を対象に、10日間の抗菌薬療法または虫垂切除術を比較するランダム化非劣性試験CODAのデータを用いたコホート研究を行い、抗菌薬療法群(n=776)での抗菌薬開始後30日以内に虫垂切除を受けた患者の関連因子を評価した。
結論
21%の患者が30日以内に虫垂切除術を受けた。30日以内の虫垂切除確率と関連する因子として、女性(オッズ比1.53)・X線所見(1 mmあたりオッズ比1.09)・虫垂結石(オッズ比1.99)があった。合併症リスクとみられる高齢や併存症、および発熱(1.28, 非有意)などの特徴は虫垂切除と関連しなかった。臨床的理由に基づく虫垂切除に限定した感度分析では、虫垂結石でのオッズ上昇を認めた(2.41)。
評価
CODA試験抗菌薬群での検討により、短期的に手術が必要となる症例の特徴を明らかにした。発熱や白血球数など経験的に用いられてきた重症度指標では関連が認められなかった一方で、虫垂結石は30日以内の手術と関連した。虫垂炎管理の個別化を実現する上で重要なデータとなる。