スタチンの「妊婦禁忌」問題に最大のケース・コントロール研究
Perinatal Outcomes After Statin Exposure During Pregnancy
背景
スタチンは基本的に妊婦禁忌だが、FDAは家族性高コレステロール血症(FH)患者には使用許容方針を示している。台湾Taichung Veterans General HospitalのLinらは、同国保険データに基づき2004〜2014年に初産予定の妊婦1,443,657名を対象として、妊娠前高コレステロール血症診断を受け妊娠中にスタチン処方を受けていた妊婦(n= 469)と、年齢マッチコントロール妊婦4,690名とを比較する後向コホート研究を行った。主要アウトカム・指標は、先天異常・出産体重・在胎週数・早産・低体重児出産・胎児仮死発生・アプガースコアである。
結論
スタチン使用は低体重児出産(RR 1.51)・早産(RR, 1.99)リスクと関連し、アプガースコアも低かった(RR 1.83)。しかし、先天性異常とスタチン使用に関連はみられず、妊娠前後の高脂血症のためのスタチン使用と出産時の有害アウトカムに関連はなかった。
評価
90年代に動物実験で危険性が報告され(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7778043/)、それ以降RCTなどは行われなかった。今回最大のコホート研究で分娩アウトカムとスタチンには関連なし、と結論した。特にFH女性には十分な報提供の上継続を勧めるべきであろう。