心臓死後心移植の早期成績:米国からの報告
Feasibility and Potential Impact of Heart Transplantation From Adult Donors After Circulatory Death
背景
心停止後臓器提供(DCD)ドナーによる心臓移植が脳死後移植(DBD)の代替策として欧州やオーストラリアで採用されているが、米国におけるDCD心臓移植の成績は。Albert Einstein College of MedicineのMadanらは、UNOS移植データベースに基づきDCDドナー(n=127)とDBDドナー(n=2,961)による心臓移植の成績を比較した。
結論
移植後30日/6ヵ月死亡・30日以内の一次性生着不全・院内脳卒中発症・ペースメーカ挿入・血液透析・入院期間延長にアウトカム差はみられなかった。DCDドナーの特徴として、若年(中央値29歳)・男性(90%)・血液O型(79%)が挙げられた。米国ではDCDドナー候補者が過去10年で著しく増加した(2010年: n=871、2020年: n=3,045)。
評価
米国におけるDCDドナーによる心臓移植の早期成績を示すプレリミナリーな第一報告で、ドナープール拡大に繋がる朗報である。移植片の阻血障害や倫理的問題、コスト面に直結する心停止後灌流法が明記されておらず、この技術・倫理基準の確立が急務である。