アグレッシブB細胞性リンパ腫二次治療でのチサゲンレクルユーセルは無益か:BELINDA試験
Second-Line Tisagenlecleucel or Standard Care in Aggressive B-Cell Lymphoma

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
December 2021
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開始ページ
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背景

チサゲンレクルユーセルは、2ライン以上の治療歴を有する再発・難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において有効性を示した抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬である。University of ChicagoのBishopらは、一次治療に抵抗性または1年以内に進行をみたアグレッシブB細胞性リンパ腫患者を対象に、チサゲンレクルユーセル投与または救済化学療法と自家造血幹細胞移植(標準治療)を割り付ける第3相多国籍ランダム化比較試験BELINDAを実施した(n=322)。

結論

ベースラインの悪性度はチサゲンレクルユーセル群で高かった。チサゲンレクルユーセル群の95.7%が投与を受け、標準治療群の32.5%が移植を受けた。チサゲンレクルユーセル群の25.9%、標準治療群の13.8%が6週間以内のリンパ腫進行をみた。無イベント生存期間の中央値は両群とも3.0ヵ月であった(ハザード比1.07)。奏功率はチサゲンレクルユーセル群46.3%、標準治療群42.5%であった。有害事象による死亡はそれぞれ10名、13名であった。

評価

期待に反し二次治療におけるチサゲンレクルユーセルのベネフィットは認められなかった。CAR T細胞投与前の疾患コントロール、投与までの期間などの因子が影響したことも考えられ、詳細な検討が必要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)