アグレッシブB細胞性リンパ腫二次治療でのチサゲンレクルユーセルは無益か:BELINDA試験
Second-Line Tisagenlecleucel or Standard Care in Aggressive B-Cell Lymphoma
背景
チサゲンレクルユーセルは、2ライン以上の治療歴を有する再発・難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において有効性を示した抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬である。University of ChicagoのBishopらは、一次治療に抵抗性または1年以内に進行をみたアグレッシブB細胞性リンパ腫患者を対象に、チサゲンレクルユーセル投与または救済化学療法と自家造血幹細胞移植(標準治療)を割り付ける第3相多国籍ランダム化比較試験BELINDAを実施した(n=322)。
結論
ベースラインの悪性度はチサゲンレクルユーセル群で高かった。チサゲンレクルユーセル群の95.7%が投与を受け、標準治療群の32.5%が移植を受けた。チサゲンレクルユーセル群の25.9%、標準治療群の13.8%が6週間以内のリンパ腫進行をみた。無イベント生存期間の中央値は両群とも3.0ヵ月であった(ハザード比1.07)。奏功率はチサゲンレクルユーセル群46.3%、標準治療群42.5%であった。有害事象による死亡はそれぞれ10名、13名であった。
評価
期待に反し二次治療におけるチサゲンレクルユーセルのベネフィットは認められなかった。CAR T細胞投与前の疾患コントロール、投与までの期間などの因子が影響したことも考えられ、詳細な検討が必要である。