マルチオミクスな機械学習により乳がんの治療反応を予測する
Multi-omic machine learning predictor of breast cancer therapy response
背景
がんの腫瘍細胞と微小環境からなる複雑なエコシステムを、治療奏効の予測に役立てるにはどうすればよいか。イギリスUniversity of CambridgeのSammutらは、術前に化学療法(± HER2標的治療)を受けた乳がん患者(n=168)において治療前生検の臨床・デジタル病理・ゲノム・トランスクリプトーム的プロフィルを収集し、これら生検時プロフィルと手術時の病理学的エンドポイントの相関を検討し、マルチオミクス機械学習モデルを構築した。
結論
術前治療後の有効性(完全奏効か病変残存か)は、腫瘍の変異やコピー数、腫瘍増殖、免疫浸潤、T細胞の機能不全/排除などの特徴と関連した。これらの特徴を組み込んだマルチオミクス機械学習モデルは、外部検証コホート(n=75)においてAUC 0.87で病理学的完全奏効を予測した。
評価
生検の多角的プロファイリングとこのデータを用いた機械学習モデルにより、術前治療の効果を高い精度で予測できることを実証した。乳がんに限定されない有用性を期待できるマルチオミック・アプローチである。


