フォン・ヒッペル・リンドウ病による腎細胞がんにHIF-2α阻害剤:MK-6482-004試験
Belzutifan for Renal Cell Carcinoma in von Hippel-Lindau Disease
背景
フォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau)病は多臓器に腫瘍性病変を多発する遺伝性疾患であり、なかでも腎細胞がんは悪性である。University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJonaschらは、VHL病関連腎細胞がん患者を対象に、HIF(低酸素誘導因子)-2α阻害剤belzutifan(MK-6482、旧称PT2977)の有効性・安全性を評価する第2相試験MK-6482-004を実施した。
結論
フォローアップ期間中央値21.8ヵ月で、61名中30名(49%)で客観的奏功を示した。また膵病変を有する61名のうち47名(77%)、中枢神経系の血管芽腫を有する50名のうち15名(30%)でも奏効を認めた。網膜血管芽腫患者のうち、ベースライン評価が行われた16眼のすべてで改善が認められた。有害事象として貧血・疲労が多くの患者で認められた。7名で治療が中止され、1名は治療関連有害事象によるもの、1名が病勢進行によるもの、1名が死亡であった。
評価
半数の患者で奏効を示し、腎細胞がん以外の他VHL病関連腫瘍性病変を含め、FDA承認を受けた。VHL病に対する初めての全身治療オプションとなる。HIF-2aの阻害はVHL病以外でも有望視されており、研究が行われている。