化学療法前・中の運動は認知機能維持と関連する
Physical Activity Patterns and Relationships With Cognitive Function in Patients With Breast Cancer Before, During, and After Chemotherapy in a Prospective, Nationwide Study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
October 2021
39
開始ページ
3283

背景

がん患者の認知機能低下に対しては運動介入が有望視されているが、化学療法による認知機能低下に対しても効果は見込めるのか。Washington University School of Medicine in St LouisのSalernoらは、全国規模の前向コホートにおいて、I-IIIC期乳がん患者(n=580)の化学療法前・中・後の運動および認知機能を、マッチングされた非がん対照者(n=363)と比較し、運動と認知機能との関連を評価した。

結論

化学療法前には、1/3の患者が国の運動ガイドライン基準を満たしていたが、化学療法中には21%に低下し、化学療法後には37%に上昇した。化学療法前にガイドラインを満たしていた患者は、その後の認知機能スコアが良好であった。また、中強度・高強度の運動は、その後の良好な認知機能経過と関連し、化学療法中の運動ガイドラインの遵守は認知機能の改善と関連した。

評価

がん治療中の運動の効能については研究が少なかったが、本研究は化学療法後の認知機能低下(いわゆるケモブレイン)に対し、化学療法前および化学療法中の運動が予防的に働く可能性を示唆した。将来の臨床試験の基礎となる知見である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)