ナッツは乳がんサバイバーの再発リスク低下と関連
Nut consumption in association with overall mortality and recurrence/disease-specific mortality among long-term breast cancer survivors

カテゴリー
がん
ジャーナル名
International Journal of Cancer
年月
October 2021
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開始ページ
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背景

ナッツの摂取は特に心血管原因での死亡を抑制すると考えられているが、乳がんリスクとの関連については未明な点が多い。Vanderbilt University のWangらは、Shanghai Breast Cancer Survival Studyの長期乳がんサバイバー(n=3,449)を対象とした分析により、ナッツ類の摂取が全生存率・無病生存率に与える影響を検討した。

結論

中央値8.27年のフォローアップ期間中に、374名が死亡、うち252名が乳がん死亡であった。診断5年後の摂取量評価時点で、209件の乳がんイベントがあった。摂取量評価から5年(診断後10年)の時点で、ナッツ消費の多いサバイバーは、全生存率(93.7% vs. 89.0%)・無病生存率(94.1% vs. 86.2%)とも高かった。多変量解析では、ナッツの摂取は全生存率・無病生存率と用量反応的な相関を示し、全生存ハザード比は0.72、無病生存ハザード比は0.48であった。この相関はナッツの種類によって変化しなかった。ナッツ摂取量と無病生存との関連は、ER・PgRやその他の予後因子によって影響されなかった。

評価

PREDIMED試験の二次解析では、地中海食により乳がん発症が減る可能性が示唆されている(https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2015.4838)。この研究はナッツ摂取量が乳がんイベント(特に再発)の減少と関連することを示した。あくまで観察研究であり、さらに多くの研究、とりわけランダム化比較試験によって検証されるべき知見である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)