術前CRTが奏効しなかった直腸がん患者で手術の遅れは有害
Association of Delayed Surgery With Oncologic Long-term Outcomes in Patients With Locally Advanced Rectal Cancer Not Responding to Preoperative Chemoradiation

カテゴリー
がん
ジャーナル名
JAMA Surgery
年月
September 2021
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背景

直腸がんの術前化学放射線治療(CRT)では、効果が十分に現れるのを待つため手術までに期間をおく場合があるが、奏効がみられない患者ではリスクとなる。イタリアUniversity of CagliariのDeiddaらは、同国12施設において2000〜2014年に治療を受けた直腸がん連続患者の後向コホートで解析を行い、術前のCRTに小奏効または奏効なしであった患者における手術までの期間と、全生存・無病生存率との関連を検討した(n=1,064)。

結論

45.6%の患者が手術まで8週間以上待期した。待期時間が長い患者では、短い患者と比較して5年生存率(67.6% vs. 80.3%)、10年生存率(40.1% vs. 57.8%)が低かった。同様に、5年無病生存率(59.6% vs. 72.0%)、10年無病生存率(36.2% vs. 53.9%)も短かった。長い待期時間は、死亡(ハザード比1.84)、死亡/再発(1.69)のリスクが増大した。

評価

奏効が最大化するのを待って手術を行う戦略は、奏効がみられない患者にとって望ましくない結果をもたらすことが明らかとなった。CRTが奏効する患者も含めて、さらなる研究を必要とするテーマである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)