血液検査Stockholm3とMRI標的生検で前立腺がん検診をさらに効率化:STHLM3-MRI試験
Prostate cancer screening using a combination of risk-prediction, MRI, and targeted prostate biopsies (STHLM3-MRI): a prospective, population-based, randomised, open-label, non-inferiority trial
背景
PSA検査による前立腺がん検診の有効性は確立されているが、過剰診断などの問題がある。スウェーデンKarolinska InstitutetのNordstromらは、ランダムに選ばれた同国の50〜74歳男性を招待し、PSAが3 ng/ml以上またはStockholm3スコアが0.11以上の参加者(n=2,293)を、標準的な系統的生検を行う標準群、またはMRIにより前立腺がんが疑われた場合に標的生検と標準生検を行う実験群に割り付けたランダム化試験STHLM3-MRIにおいて、実験群におけるPSAとStockholm3の比較、PSA+標準生検とStockholm3+MRI標的/系統的生検の比較解析を実施した。
結論
臨床的に重要な前立腺がん検出の受信者動作特性曲線下面積(AUROC)は、Stockholm3で0.76、PSAで0.60であった。PSA値3 ng/mLと比較して、Stockholm3の閾値0.11は、臨床的に重要な前立腺がん、低悪性度前立腺がんに対して非劣性であり、MRI・生検の増加と関連した。閾値0.15では、臨床的に重要な前立腺がんの検出感度が同等で、MRI・生検回数が減少した。またPSA+系統的生検と比較して、Stockholm3+MRI標的/系統的生検は、臨床的に重要な前立腺がんの検出が多く、低悪性度前立腺がんの検出は少なく、生検回数も減少した。
評価
Stockholm3は、タンパク質マーカー、遺伝子マーカー、臨床データなどから進行前立腺がんのリスクを予測する血液検査で、Stockholm3とMRI標的生検の組み合わせを検証したこの臨床試験では重要ながんの検出率を維持しつつ、生検回数を抑制し得ることを明らかにした。同試験のMRI標的生検についてはNEJMに発表済である(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2100852)。