α-リノレン酸の摂取で心血管リスクは下がるが癌リスクは上がる?
Dietary intake and biomarkers of alpha linolenic acid and risk of all cause, cardiovascular, and cancer mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies
背景
必須多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸は、その抗炎症作用により心血管疾患(CVD)や癌のリスクを抑制する可能性が示唆されているが、エビデンスには不一致もある。イランTehran University of Medical SciencesのNaghshiらは、α-リノレン酸摂取と全原因・CVD・癌死亡リスクとの関連を調査した前向コホート研究を特定し、データを統合するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
41報の論文から、1,197,564名の参加者がメタアナリシスに含まれた。α-リノレン酸の高摂取は、低摂取と比較して、全原因死亡リスク(統合相対リスク0.90)・CVD死亡リスク(0.92)・冠動脈疾患死亡リスク(0.89)を有意に低下させた一方、癌死亡リスクをわずかに上昇させた(1.06)。用量反応解析では、一日あたりのα-リノレン酸摂取量が1 g増加するごとに、全原因死亡・CVD死亡リスクが5%低下した。またα-リノレン酸の血中濃度が1 SD増加するごとに冠動脈疾患死亡リスクが低下した(0.92)。
評価
大豆やナッツに豊富に含まれるω-3脂肪酸で、このメタアナリシスでは高摂取により心血管死亡が減少した一方、癌死亡では僅かなリスク増加が示唆された。RCTの結果も微妙であり(https://doi.org/10.1002/14651858.CD003177.pub5)、現在までのエビデンスから何らかの推奨事項を引き出すことはできない。