ぶどう膜悪性黒色腫に新規二重特異性タンパク質tebentafusp:IMCgp100-202試験
Overall Survival Benefit with Tebentafusp in Metastatic Uveal Melanoma
背景
ぶどう膜悪性黒色腫(uveal melanoma)はメラノーマの3-5%を占める眼内腫瘍で、皮膚メラノーマとは異なる疾患であり、転移を有する患者での治療オプションは少ない。イギリスMount Vernon Cancer CentreのNathanらは、治療歴のないHLA-A*02:01陽性転移性ぶどう膜悪性黒色腫患者を対象に、二重特異性融合タンパク質tebentafuspまたは主治医選択治療(ペムブロリズマブ、イピリムマブ、ダカルバジン)を2:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験を実施した(n=378)。
結論
1年全生存率は、tebentafusp群で73%、対照群で59%であった(ハザード比0.51)。6ヵ月無増悪生存率もtebentafusp群で有意に高かった(31% vs. 19%; ハザード比0.73)。Tebentafusp群治療関連有害事象として、発疹、発熱、そう痒などのサイトカイン介在性事象・皮膚関連事象があったが、最初数回の投与後には発生率・重症度が低下し、治療中止に至ったのは2%であった。治療関連死亡は報告されなかった。
評価
TCR結合ドメインと抗CD3 T細胞結合ドメインを介しメラノーマ細胞のgp100を標的化するファーストインクラスの二重特異性融合タンパク質である。この試験結果に基づきFDAの優先審査に付されている。日本では稀な疾患ではあるが、転移性となった場合には標準治療がないこのがんに新たな治療オプションをもたらした。