膵がんでのPARP阻害薬rucaparib維持療法、PALB2変異患者にも効果:第2相試験
Phase II Study of Maintenance Rucaparib in Patients With Platinum-Sensitive Advanced Pancreatic Cancer and a Pathogenic Germline or Somatic Variant in BRCA1, BRCA2, or PALB2

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
August 2021
39
開始ページ
2497

背景

BRCA変異を持つ進行膵がんの維持療法としてPARP阻害薬オラパリブが承認されているが、同じ対象にrucaparibは役割を持つことができるか。University of PennsylvaniaのReissらは、BRCA1/BRCA2/PALB2の生殖細胞系列・体細胞系列病原性バリアントを有し、プラチナ化学療法を受けている進行膵がん患者を対象に、化学療法に変えてrucaparibを投与する第2相試験を実施した(n=46)。

結論

生殖細胞系列(g)BRCA2が27名、gBRCA1が7名、gPALB2が6名、体細胞系列(s)BRCA2が2名であった。6ヵ月無増悪生存率は59.5%、PFS中央値は13.1ヵ月、全生存期間中央値は23.5ヵ月であった。評価可能な36名での客観的奏効率は41.7%、病勢コントロール率は66.7%であった。奏効持続期間は中央値17.3ヵ月であった。奏効は、gBRCA2患者の41%、gPALB2患者の50%、sBRCA2の50%で生じた。

評価

オラパリブはPOLO試験において有効性を確立しているが、rucaparibも有望性を示した。PALB2変異患者でも6人中3人に奏効がみられたことは、PARP阻害薬の恩恵を拡大しうる知見である(https://doi.org/10.1200/JCO.20.02151)。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)