神経幹細胞による腫瘍溶解性アデノウイルスの送達を実証
Neural stem cell delivery of an oncolytic adenovirus in newly diagnosed malignant glioma: a first-in-human, phase 1, dose-escalation trial
背景
腫瘍細胞でのみ溶解活性を示し正常細胞は温存するよう改変されたウイルス(腫瘍溶解性ウイルス)の治療開発が本格化しているが、腫瘍部位への薬剤送達も課題となっている。Northwestern UniversityのFaresらは、高悪性度の新規神経膠腫のテモゾロミド療法と放射線治療に先だち、外科的切除後に、神経幹細胞によって送達される腫瘍溶解性ウイルスNSC-CRAd-S-pk7を切除腔壁に注入する第1相用量漸増試験を実施した(n=12)。
結論
11名が膠芽腫、1名が退形成星細胞腫であった。1名の患者で、誤って側脳室へ薬剤を注入したことによりウイルス性髄膜炎が発症した。それ以外では用量制限毒性には至らず、1.50×10^8個の神経幹細胞による1.875×10^11個のウイルス送達が、第2相試験用量として推奨された。無増悪生存期間の中央値は9.1ヵ月、全生存期間は18.4ヵ月であった。
評価
ウイルスを送達するために幹細胞を使用するという革新的アプローチを提示する、first-in-humanの第1相試験である。膠芽腫の平均的予後を上回る成績を示し、さらなる検証を正当化した。

