世界の新規がん発症の4%がアルコールに原因:2020年
Global burden of cancer in 2020 attributable to alcohol consumption: a population-based study
背景
飲酒は多くのがんと因果関係が認められている生活習慣であるが、その世界的な疾病負荷は。フランスInternational Agency for Research on CancerのRumgayらは、Global Information System on Alcohol and Healthから得られた2010年のアルコール消費量の推定と、WCRF Continuous Update Projectで行われたシステマティックレビューから得られた相対リスクの推定を組み合わせて、GLOBOCAN 2020のがん発症率データにおけるアルコールに起因する新規がん件数を推定した。
結論
2020年に新規発症したがんのうち、741,300件(4.1%)がアルコール原因と推定された。このうち76.7%は男性であった。件数順では、食道がんが189,700件、肝がんが154,700件、乳がんが98,300件と上位を占めた。アルコール原因の割合が少ない地域は、北アフリカ(0.3%)、西アジア(0.7%)で、東アジア(5.7%)、中央・東ヨーロッパ(5.6%)で高かった。アルコール起因がんの負荷は、重度飲酒者(一日あたり60 g超)で346,400件(46.7%)と最も大きく、リスク飲酒者(20〜60 g)の291,800件(39.4%)、中程度飲酒者(20 g未満)の103,100件(13.9%)と続いた。飲酒量が一日10 g以下でのアルコール起因新規がんは41,300件であった。
評価
アルコールが原因となった新規がんに関する世界規模のリアルタイム推定を与えた。疾病負荷が高い地域、飲酒量と負荷との関連も示し、グローバル公衆衛生政策のベースとなるデータである。


