肺がん診断後でも禁煙により生存期間が20ヵ月延びる
Postdiagnosis Smoking Cessation and Reduced Risk for Lung Cancer Progression and Mortality: A Prospective Cohort Study
背景
非小細胞肺がん(NSCLC)患者の多くは診断時点で喫煙を継続しているが、診断後の禁煙は肺がんの予後にどのような影響を与えるのか。フランスInternational Agency for Research on Cancer(IARC/WHO)のSheikhらは、2007〜16年に早期NSCLC喫煙患者を登録し、2020年までフォローアップした前向研究において、診断後の禁煙と進行・死亡リスクへの影響を評価した(n=517)。
結論
平均7年のフォローアップで、327名(63.2%)が死亡、273名(52.8%)ががん特異的死亡、172名(33.7%)で病勢進行が記録された。調整後の全生存期間は、禁煙した患者で6.6年、喫煙を続けた患者では4.8年であり、禁煙した患者で21.6ヵ月長かった。5年生存率はそれぞれ60.6%、48.6%、無増悪生存率は54.4%、43.8%であった。リスク因子について調整後、禁煙は全原因死亡(ハザード比0.67)、がん特異的死亡(ハザード比0.75)、病勢進行(ハザード比0.70)のリスク低下と関連した。
評価
がん診断後であっても禁煙するのに遅すぎることはないことを確認した(https://doi.org/10.1097/JTO.0000000000000578)。ただ、喫煙がん患者の多くは禁煙に失敗することが知られており、効果的な禁煙介入も求められている。

