食道がんでの術前化学放射線治療のベネフィットは長期的:CROSS試験10年結果
Ten-Year Outcome of Neoadjuvant Chemoradiotherapy Plus Surgery for Esophageal Cancer: The Randomized Controlled CROSS Trial
背景
CROSS試験は、切除可能な食道・食道胃接合部がん患者(n=368)を、手術単独または術前化学放射線療法(5週間のカルボプラチン+パクリタキセルと41.4 Gy/23 frの放射線治療)+手術に割り付けるランダム化比較試験であり、術前化学放射線療法により全生存期間が改善することを示し、これにより術前化学放射線療法が世界的な標準治療となった。オランダErasmus University Medical Center RotterdamのEyckらは、同試験における長期アウトカムを報告した。
結論
フォローアップ期間の中央値は147ヵ月であった。術前化学放射線療法を受けた患者では全生存期間の改善が認められ(ハザード比0.70)、10年間のフォローアップにおいて安定的な全生存期間有効性が示唆された。10年生存率は術前化学放射線療法群で38%、手術単独群では25%であった。術前化学放射線療法は食道がん死亡のリスクも軽減した(0.60)。局所・領域単独再発と局所・領域/遠隔同時再発についての効果も持続していた。
評価
CDDP+5FUが標準治療である日本での実施は限定的だが、術前の化学放射線療法のベネフィットが長期にわたって持続することを確認した。最近では術前治療で完全奏効とならなかった患者へのニボルマブ治療も登場している(http://doi.org/10.1056/NEJMoa2032125)。