大腸内視鏡検診は75歳以上の高齢者でも大腸がんリスクを減らす
Association of Screening Lower Endoscopy With Colorectal Cancer Incidence and Mortality in Adults Older Than 75 Years
背景
75歳・80歳以上の高齢者では一般にがん検診の有効性が低減するが、これらの高齢者におけるS状結腸鏡または大腸内視鏡による大腸がん検診の有効性に関するデータは少ない。Massachusetts General HospitalのMaらは、アメリカの医療従事者を対象とする2つの大規模コホートNurses’ Health StudyとHealth Professionals Follow-up Studyのうち、フォローアップ期間中に75歳に達した参加者(n=56,374)のデータをもとに、75歳以前または75歳以降のS状結腸鏡・大腸内視鏡検査歴と大腸がん罹患率・死亡率との関連を評価した。
結論
661件の大腸がん発症があり、323件の大腸がん関連死亡があった。75歳以降の検診内視鏡は、大腸がん発症(多変量ハザード比0.61)および大腸がん死亡(0.60)のリスク低下と関連した。75歳以前に内視鏡検診を受けていた参加者においても(大腸がん発症HR 0.67, 死亡 0.58)、検診歴のない参加者においても(0.51, 0.63)同様に認められた。しかし心血管疾患(1.18)、重大な併存疾患(1.17)を有する参加者では大腸がん死亡リスクの低下は認められなかった。
評価
直近のUSPSTF大腸がん検診ガイドラインは、76〜85歳の個人に対しては選択的な推奨を行うに留まっているが、本研究は大規模医療従事者コホートでの調査により、75歳以上でも健康状態が良好な個人では内視鏡検診が有効である可能性を示唆した。

