COVID-19パンデミックでアメリカのがん検診受診はピーク時に9割減
Association of Cancer Screening Deficit in the United States With the COVID-19 Pandemic
背景
COVID-19パンデミックでは、感染リスクを避けるために病院受診を控える動きが拡がり、がん検診の受診率も大きく減少した。University of KansasのChenらは、アメリカの多様な地域の6,000万人をカバーする診療報酬請求データベースHealthCore Integrated Research Databaseを用いた後向コホート研究を行い、COVID-19パンデミックにおける乳がん・大腸がん・前立腺がんの検診率を定量化した。
結論
2020年の3月から5月の検診受診率は、2019年と比較して急速に低下した。特に4月には乳がん検診で90.8%、大腸がん検診で79.3%、前立腺がん検診で63.4%減少した。乳がん検診と前立腺がん検診の受診率は7月までにほぼ回復した。パンデミックによるアメリカ全体の検診件数減少は、乳がん検診で390万人、大腸がん検診で380万人、前立腺がん検診で160万人と推定された。社会経済状況(SES)別では、SES指数の最高四分位に含まれる個人で検診受診率の低下が大きかった。多変量解析では、遠隔医療の利用が高い検診受診率と関連した。
評価
アメリカのがん検診受診は、第一波時には最大90%減少した。この減少は夏頃までにおおむね回復したものの、今後、より進行したがんの増加として現れる可能性が高い。日本では日本対がん協会が調査を行っており、2020年全体で受診が30%減少していたことが明らかにされている(https://www.jcancer.jp/news/11952)。

