マルチターゲットFITで大腸がん検診を改良
Clinical Validation of a Multitarget Fecal Immunochemical Test for Colorectal Cancer Screening: A Diagnostic Test Accuracy Study
背景
免疫学的便潜血検査(FIT)法は、現在の大腸がん検診の標準となっているが、進行腺腫(advanced adenoma)や鋸歯状ポリープでは感度が十分ではなく改良の余地がある。オランダAmsterdam University のde Klaverらは、大腸がん、進行腺腫、進行鋸歯状ポリープ、非進行腺腫、非進行鋸歯状ポリープおよび対照参加者(n=1,284)から得られたFITサンプルをもとに、抗体ベースのアッセイを開発、最適なバイオマーカーの組み合わせを特定し、そのパフォーマンスを検証した。
結論
CART解析において、ヘモグロビン・カルプロテクチン・SERPINF2を組み合わせたマルチターゲットFITは、進行新生物に対して感度42.9%(従来FITは37.3%)、特異度は従来法と同等の96.6%を示した。特に進行腺腫での感度は、従来FITの28.1%に対し、mtFITでは37.8%に改善した。これらの結果に基づくとmtFITによる検診は、従来FITと比して費用対効果が高かった。
評価
FITは進行腺腫などでは感度が十分でないことが懸案であり、この研究ではマルチターゲット化によりその精度をわずかに改善した。前向検診試験が予定されている。

