閉経後乳がんでの術後アロマターゼ阻害薬は7年で十分:ABCSG-16/SALSA試験
Duration of Adjuvant Aromatase-Inhibitor Therapy in Postmenopausal Breast Cancer
背景
ホルモン受容体陽性乳がん患者では5年間の術後内分泌治療が行われ、さらにその期間を延長することにより無病生存期間が延長することが示されているが、至適な延長期間は何年間か。オーストリアMedical University of ViennaのGnantらは、5年間の術後内分泌治療を受けたHR陽性閉経後乳がん女性を、さらに2年間のアナストロゾールまたは5年間のアナストロゾール治療に割り付ける第3相ランダム化比較試験SALSA(ABCSG-16)を実施した(n=3,484)。
結論
2年間のアナストロゾール延長治療後にも再発がなかった3,208名の患者が、一次解析の対象となった。その後8年が経過した時点(ランダム化後10年)での、病勢進行・死亡イベントは両群とも335名で生じた(ハザード比0.99)。多くの二次エンドポイントにも群間差はなく、サブグループでも差は認められなかった。臨床的な骨折は、5年延長群で増加した(ハザード比1.35)。
評価
2年延長群と5年延長群で生存期間の差はなかった一方で、5年延長群では骨折リスクは増加した。長期延長群でのベネフィットを示せなかったDATE試験やIDEAL試験と軌を一にする結果であり、7年を超える術後AI治療は不要と考えられる。