化学療法中のリアルタイムモニタリングで症状負荷が軽減:eSMART試験
Real time remote symptom monitoring during chemotherapy for cancer: European multicentre randomised controlled trial (eSMART)
背景
化学療法中のがん患者はさまざまな副作用を経験するが、症状をモニタリングすることで患者のケアを改善できるか。イギリスUniversity of StrathclydeのMaguireらは、ヨーロッパ12施設のがんセンターの、少なくとも5年間化学療法を受けたことがない非転移乳がん・大腸がん・ホジキンリンパ腫・非ホジキンリンパ腫患者(n=829)の初回化学療法において、Advanced Symptom Management Systemによる副作用モニタリングまたは標準治療に割り付け、症状負荷(Memorial Symptom Assessment Scale)を比較するランダム化比較試験eSMARTを実施した。
結論
ASyMS群では症状負荷は化学療法開始前のレベルに留まっていたが、対照群では症状負荷の増加が報告された。下位項目別では全体的な苦痛指数、心理的症状、身体的症状がASyMS群で軽減しており、健康関連QOL(FACT-G)はすべての治療サイクルでASyMS群の方が高かった。STAI-R特性不安、STAI-R状態不安の平均スコアはASyMS群で低かった。またASyMS群ではCASE-Cancerスコアが高く、SCNS-SF34のほとんどの項目が低かった。ASyMSの安全性は十分なものであった。
評価
ASyMSは最大16の症状をリアルタイムに評価し、体温を入力することで、患者はそれに応じたセルフケアのアドバイスを得られ、必要な場合には臨床医にアラートが送られるシステムで、介入群では不安が大きく軽減され、支持療法や自己効力感の改善がもたらされた。パンデミックの時代における新しいモニタリングの形として期待される。


