抗がん剤治療に用いる中心静脈デバイスは何が良い?:CAVA試験
Central venous access devices for the delivery of systemic anticancer therapy (CAVA): a randomised controlled trial
背景
中心静脈(CV)ラインからの抗がん剤投与には複数のオプションが存在するが、いずれが優るのか。University of GlasgowのMossらは、トンネル型CVカテーテル(ヒックマン)、埋め込み型CVポート、末梢静脈CVカテーテル(PICC)の3種のデバイスの優越性・非劣性を検証するため、12週以上の全身抗がん剤治療を受ける成人患者に対し、ヒックマン・PICC・ポートに2:2:1、PICC・ヒックマンに1:1、ポート・ヒックマンに1:1、ポート・PICCに1:1の4種のランダム化オプションを選択してもらう多施設ランダム化比較試験CAVAを実施した(n=1,061)。
結論
合併症率(感染症・静脈血栓症・肺塞栓・逆血不可・機械的合併症・その他の複合)は、PICC群で52%、ヒックマン群49%と同程度であったが、PICCの非劣性は確認されなかった(オッズ比1.15)。ポートとヒックマンの比較では、ポート群29%、ヒックマン群43%と、ポートが優った(0.54)。ポートはPICCとの比較においても、各合併症率32%、47%と優った(0.52)。
評価
この問題についてはエビデンスが乏しく、主要ながん学会もデバイスについての具体的推奨は行ってこなかった。本試験は埋め込み型CVポートが、合併症発生率でヒックマン型やPICCに優れることを明らかにし、プラクティスの変更を促すエビデンスとなった。