TP53変異型MDS・AML患者へのファースト・イン・クラス薬eprenetapopt(APR-246)、第3相へ
Eprenetapopt (APR-246) and Azacitidine in TP53-Mutant Myelodysplastic Syndromes
背景
骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)の一部はTP53変異を有し、これらの患者の予後は不良である。H. Lee Moffitt Cancer CenterのSallmanらは、TP53変異型MDSまたは芽球比率20%~30%のAML患者を対象に、変異型p53再活性化を再活性化させる小分子化合物eprenetapopt(APR-246)とアザシチジンを併用し、安全性・有効性を評価した第1b/2相試験の結果を報告した(n=55)。
結論
患者全体での全奏効率は71%であり、44%が完全寛解を達成した。MDS患者(n=40)では73%、58%、AML患者(n=11)では64%、36%であった。NGSでTP53変異のみが認められた患者では完全寛解率が高かった(69% vs. 25%)。奏効患者ではp53発現が有意に減少しており、38%が分子遺伝学的完全奏効を達成した。全生存期間は中央値10.8ヵ月で、奏効患者では有意に延長した(14.6ヵ月 vs. 7.5ヵ月)。35%の患者が同種造血幹細胞移植を受け、全生存期間は14.7ヵ月であった。有害事象はそれぞれ単剤使用で報告されたものと同様で、グレード3以上の有害事象として発熱性好中球減少症、白血球減少症、好中球減少症が多く報告された。
評価
TP53変異細胞における野生型p53の機能を回復させるというファースト・イン・クラスの化合物で、アザシチジンとの併用により、特にTP53変異のみを有する患者で高いCR率を示した。この有望結果を再現すべく、第3相試験が進行中である(NCT03745716)。