局所進行直腸がんでのTotal Neoadjuvant Therapy:UNICANCER-PRODIGE 23試験
Neoadjuvant chemotherapy with FOLFIRINOX and preoperative chemoradiotherapy for patients with locally advanced rectal cancer (UNICANCER-PRODIGE 23): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial
背景
局所進行大腸がん患者の術前に、化学放射線療法に加えて全身化学療法を行うTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が欧米を中心に検討されている。フランスInstitut de Cancerologie de LorraineのConroyらは、同国35施設のcT3期またはcT4 M0期の直腸がん患者を対象に、標準治療である術前化学放射線療法(50 Gy/5週間・カペシタビン)+直腸間膜全切除術(TME)+術後化学療法(mFOLFOX6またはカペシタビン)か、これらに先立ちFOLFIRINOXを行う術前補助化学療法群に割付け、無病生存率を比較する第3相ランダム化比較試験UNICANCER-PRODIGE 23を実施した(n=461)。
結論
フォローアップ期間中央値46.5ヵ月で、3年無病生存率は術補助前化学療法群で76%、標準治療群では69%であった(ハザード比0.69)。術前補助化学療法における最も一般的なグレード3・4の有害事象として、好中球減少症と下痢があった。治療期間全体での重篤有害事象は、術補助前化学療法群の27%、標準治療群の22%で発生した。治療関連死はそれぞれ1名、2名であった。
評価
術前のTNTは欧米を中心に拡がっており、完全奏効となった患者ではWatch and Wait戦略も選択肢として検討されている。本試験は、先に発表されたRAPIDO試験(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(20)30555-6)と並んで、術前補助化学療法追加のベネフィットを実証し、実践へのインパクトが大きいエビデンスとなる。