CAR-T細胞療法時のサイトカイン放出症候群、高リスク患者で予防的にトシリズマブを使う
Risk-Adapted Preemptive Tocilizumab to Prevent Severe Cytokine Release Syndrome After CTL019 for Pediatric B-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia: A Prospective Clinical Trial
背景
キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法は大きな効果を示しているが、重篤な副作用としてサイトカイン放出症候群(CRS)があり、これに対する治療法としてトシリズマブが承認されている。University of PennsylvaniaのKadaukeらは、CD19 CAR-T細胞療法tisagenlecleucel(CTL019)を受けるCD19陽性の再発・難治B細胞性急性リンパ性白血病の小児・若年患者(n=70)のうち、腫瘍負荷が高い患者(40%以上)で高熱が持続した場合トシリズマブを単回投与し、腫瘍負荷が低い患者では標準的CRS管理を行う前向試験を実施した。
結論
高腫瘍負荷患者15名、低腫瘍負荷患者55名がCTL019を投与された。高腫瘍負荷患者は全員が予防的トシリズマブを受けた。グレード4のCRSの発生率は、高腫瘍負荷群で27%、低腫瘍負荷群では3.6%であった。最良全奏功率は高腫瘍負荷群で87%、低腫瘍負荷群で100%であった。無イベント生存期間・全生存期間は高腫瘍負荷群で不良であった。
評価
CTL019での過去の第1相試験では半数にグレード4のCRSが発生しており、予防的トシリズマブによりこれを軽減した。CAR-T療法における大きな前進となりうる。