切除不能な進行大腸がんで化学療法前に原発巣切除しても生存期間改善せず:iPACS試験
Primary Tumor Resection Plus Chemotherapy Versus Chemotherapy Alone for Colorectal Cancer Patients With Asymptomatic, Synchronous Unresectable Metastases (JCOG1007; iPACS): A Randomized Clinical Trial
背景
治癒切除不能なステージIV大腸がんのうち、腸閉塞症状を有さない患者で、化学療法に先行して原発巣切除を行うべきかどうかは明らかでない。日本National Cancer Center Hospital(国立がん研究センター中央病院)のKanemitsuらは、切除不能な転移病変が3個以下のステージIV大腸がん患者において、原発巣切除+化学療法と化学療法のみを比較する第3相ランダム化比較試験JCOG1007(iPACS)を実施した。
結論
165名がランダム化された後、無益性解析に基づき試験は早期終了した。フォローアップ期間中央値は22.0ヵ月で、全生存期間は原発巣切除群で中央値25.9ヵ月、化学療法単独群で26.7ヵ月であった(ハザード比1.10)。原発巣切除群の3名で術後死亡が発生した。
評価
原発巣切除を先行することで生存期間を延長すると言う報告がある一方、手術の合併症やそれに伴う化学療法遅延の危険性も指摘されてきた。本試験はこの問題を検証した初のRCTで、原発巣先行切除にベネフィットがみられないことを明らかにした。