膠芽腫へのテモゾロミド投与は朝の方が良い?:時間治療の可能性
Temozolomide chronotherapy in patients with glioblastoma: a retrospective single institute study
背景
薬剤には概日リズムに応じた至適な投与時刻が存在するという時間薬理学のコンセプトは、病態の日内リズムを持つ疾患だけでなく、がん化学療法などでも検討されてきた。Washington University のDamatoらは、同大で2010〜2018年に診断され、朝または夜にテモゾロミド投与を受けるよう処方された膠芽腫患者(n=166)を後向レビューし、維持テモゾロミドの投与時間帯と生存率との関連を評価した。
結論
全生存期間の中央値は、朝投与群で1.43年、夜投与群1.13年であり、1年時点でのRMSTにも有意な差を認めた(-0.09)。特にMGMTメチル化患者では、朝投与患者で全生存期間の中央値が6ヵ月延長し、RMST差は1年目時点で-0.13、2.5年目には-0.43となった。朝投与の優位性は、1年目、2年目、5年目の時点でも支持された。
評価
MGMTメチル化腫瘍を有する患者で、午前中のテモゾロミド投与により生存期間が延長することを明らかにした。膠芽腫細胞株のテモゾロミド感受性や血液脳関門の透過性に日内変動が存在する可能性はすでに知られており、こうした概日リズムが有効性の差をもたらした可能性がある。前向研究によって確認する価値のあるコンセプトである。