早期乳がんでの化学療法、70遺伝子検査と臨床スコアが食い違う場合は?:MINDACT試験の長期フォローアップ・探索的解析結果
70-gene signature as an aid for treatment decisions in early breast cancer: updated results of the phase 3 randomised MINDACT trial with an exploratory analysis by age
背景
MINDACT試験は、早期乳がん女性(n=6,693)を対象に70遺伝子シグネチャー検査(MammaPrint)と臨床予後予測ツール(Adjuvant! Online)によるリスク判定を行い、リスク結果が一致しない患者ではいずれかのリスク結果に基づき補助化学療法の有無に割り付ける第3相ランダム化試験であり、さきに、臨床的リスクが高く遺伝子リスクが低い乳がん患者では、化学療法を行わなくても94.7%の高い5年無遠隔転移生存率が得られることを示している。ベルギーUniversite Libre de BruxellesのPiccartらは、同試験での長期フォローアップ結果と年齢別の探索的解析結果を報告した。
結論
更新された5年無遠隔転移生存率は、化学療法を行わなかった臨床的リスクが高く遺伝子リスクが低い患者で95.1%であり非劣性基準を満たした。8年無遠隔転移生存率は、化学療法を行った患者で92.0%、化学療法を行わなかった患者で89.4%であった(ハザード比0.66)。HR陽性・HER2陰性患者での探索的解析では、化学療法の効果が年齢によって異なることを示した。50歳以下の患者では化学療法による遠隔転移予防効果が高く(絶対差5.0%)、50歳以上では低かった(0.2%)。
評価
これまでの結果で化学療法追加の利益が小さいと見られていた、70遺伝子検査と臨床リスクの結果が食い違う患者でも、年齢が若い場合には化学療法が有益である可能性が示唆された。あくまで探索的解析ではあるが、治療選択に際して考慮すべきデータとなるだろう。