再発・難治トリプルネガティブ乳がんへのsacituzumab govitecan、生存期間を延長:ASCENT試験
Sacituzumab Govitecan in Metastatic Triple-Negative Breast Cancer
背景
Sacituzumab govitecanは、抗Trop-2抗体とイリノテカンの活性代謝物SN-38を結合させた抗体薬物複合体(ADC)であり、多くがTrop-2を発現するトリプルネガティブ乳がんで有望な活性を示している。Massachusetts General Hospital のBardiaらは、転移を有する再発・難治トリプルネガティブ乳がん患者を対象に、主治医選択の単剤化学療法またはsacituzumab govitecanを割り付ける第3相ランダム化比較試験ASCENTを実施した(n=468)。
結論
すべての患者はタキサン系薬剤の使用歴があった。無造悪生存期間の中央値は、sacituzumab govitecan群で5.6ヵ月、化学療法群で1.7ヵ月であった(ハザード比0.41)。全生存期間の中央値はそれぞれ12.1ヵ月、6.7ヵ月であった(0.48)。客観的奏功はsacituzumab govitecan群の35%、化学療法群の5%で認められた。グレード3以上の治療関連有害事象として、好中球減少症、白血球減少症、貧血、発熱性好中球減少症がみられた。有害事象に関連する死亡は両群3名ずつで、sacituzumab govitecan投与に関連する死亡はなかった。
評価
第1/2相試験(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1814213)に続いて高い奏功率と、化学療法を上回る生存成績を示した。この結果により2ライン以上の治療歴を有するmTNBC患者を対象としてFDA正式承認を受けた。